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April 30, 2011

期待以上!二期会「フィガロの結婚」を聴く(2011年4月30日)

「フィガロの結婚」
オペラブッファ全4幕
字幕付き原語(イタリア語)上演
原作:P.A.C.d.ボーマルシェ
台本:ロレンツォ・ダ・ポンテ
作曲:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
会場: 東京文化会館 大ホール(JR上野駅公園口前)
2011年4月 30日(土)14:00
スタッフ
指揮: デニス・ラッセル・デイヴィス
演出: 宮本亜門
装置: 二―ル・パテル
衣裳: 前田文子

キャスト
アルマヴィーヴァ伯爵 鹿又 透
伯爵夫人 澤畑恵美
ケルビーノ 杣友惠子
フィガロ 久保和範
スザンナ 菊地美奈
バルトロ 池田直樹
マルチェリーナ 清水華澄
ドン・バジリオ 吉田伸昭
ドン・クルツィオ 渡邉公威
園丁アントニオ 境 信博
バルバリーナ 砂田恵美
花娘1 盛田麻央
花娘2 長谷川 忍

合唱:二期会合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

思いの他よかった、二期会のフィガロの結婚。

何たってすばらしかったのが伯爵夫人の澤畑恵美。
気品のある深みがあって伸びもある声。
最初に出て来たときはかつらもつけない長い黒髪が
少し若くてきれい過ぎない?と思ったが、いやいや
気品にみちてもう伯爵夫人そのもの。

アルマヴィーバ伯爵も素晴らしかった。
よく響く声が魅力的。声量も十二分。
こんなに魅力的な声だと悪役には聴こえない。
どちらかというと苦悩の表現が似合ってしまうくらい。

スザンナとフィガロを飛ばして、バルトロも良かった。
声が良すぎて、こちらも悪役って感じでない位。
喜劇的な演技もよくできていた。

フィガロ、スザンナもものすごく、と言うほどではなかったけど
まずまず。
僕はスザンナがこのオペラの主役ではないかと思っているのだが
今日は主役!というほどではなかったかな?
フィガロも悪くは無かったのですが、アルマヴィーバの出来が
良すぎたので、割を食ったかも。

ケルビーノも狂言回しとして準主役みたいに思っているのだが、
どうももう一つで、脇役としての存在にとどまっていたよう。

デニス・ラッセル・デイヴィスの指揮はゆったりとしていて
喜劇的な表現のところは少しもたついた印象だが、
憂いを含んだ場面の美しさは出色。

宮本亜門演出は、舞台装置はシンプル過ぎてどうかなと
思ったが演技がきっちりできているので十分喜劇として
楽しかった。

今日の公演、今まで観た二期会オペラの中で一番良かった。
大満足!


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April 26, 2011

東フィルコンサートの補追と4月の公演を聴いて考えたこと。

まずは昨日の演奏会でいくつか書き漏らしたことがあったので補追しておく。

エッティンガーの指揮を目の前で見ていた。
(何しろ最前列中央で聞いていたのだ)
チャイ4の一楽章。
渾身の力で腕を振り下ろす。
これがなんというか、バットを振る、ゴルフクラブを振るような
本気の腕の振りなので驚いた。
風が切れる音がした。

また、棒を振り下ろす前、彼には独特の間がある。

指揮台に上がってオーケストラを見回し、他の指揮者ならそのまま
指揮を始めるところだが、彼はすぐに棒を下ろさない。
少し間がある。
この間は、オケに平常心と共にいい意味で緊張感をももたらすかも
知れない。つまり、勢いで惰性で曲を弾き(吹き)始めない効果が
あるのではないかと思った。


また、昨日のコンサートマスター 三浦章宏氏が素晴らしかった。
音は美しく一際大きく、弾く姿も大きめの動作でとても音楽的
だった。時には立ち上がらんばかりに体を動かして弾くコンマスは
指揮者と共に楽員を引っ張る力になると思う。

4月はオペラの公演が降り番だったから、良いメンバーが多かった
こともあるかもしれない。(どなたが上手とかはよく知らないが)

指揮とコンマスがここまで良い出来だと演奏も良くなろうというもの。
本当に良い演奏だった。(今でもチャイ4とエッティンガーが
頭に残っている)

次に4月の公演について

少し早いがメモ代わりに書いておく。
都響や新国立の新日、4/10のN響と4月は5つの国内オケを
(結果的に)聴いた。どこの楽団も演奏することの歓びにあふれ、
熱のこもった演奏を聴かせてくれた。

惰性の演奏など感じられなかった。
僕が聴いた演奏は全て海外の指揮者。
都響、読響、東フィルは指揮者が予定通り来日し、
予定通りのプログラムを演奏した。

N響を指揮したメータはチャリティコンサートのためだけに
再来日。新国立の新日は急遽代演を引き受け来日してくれた
指揮者だ。
オケも指揮者への感謝、演奏をできる喜び等など、非常時の
独特のモチベーションにより、普段以上の熱意のようなもの
があったのではないか?もちろん聴く側も同じで、演奏者や
来日指揮者への感謝の念、公演が開催されて音楽を聴ける
ことへの素直な歓び(今までは当たり前のことに思えていた)に
満たされていた。

僕たちは、時間がたつにつれて平常時に戻り、震災の前と
同じように音楽を消費して行くのかもしれないが今月の公演で
感じたことについてはこれからも心にとどめておきたいと思う。
多分今月聴いた音楽は自分の中でも深く記憶に残ると考えて
いる。


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April 25, 2011

大盛り上がり東フィル、エッティンガーのチャイ4を聴く(2011年4月24日)

2011年 4月24日(日)15:00開演
第801回オーチャード定期演奏会
Bunkamura オーチャードホール
指揮 : ダン・エッティンガー
ピアノ : 清水 和音
ラフマニノフ / ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 作品30
チャイコフスキー / 交響曲第4番 ヘ短調 作品36
シューベルト / 「ロザムンデ」より間奏曲第3番 (アンコール)

昨日のブログにも書いたが、
この時期の来日アーティストに敬意を込めてなるべく行ける演奏会に
行こうと思い、東フィルコンサートに足を運ぶ。

エッティンガー・東フィルは、新国立劇場の東京リングのコンビで
聴いてたことがある。エッティンガーは初リングだったそうだ。
(立派な演奏と思ったが、僕はワーグナーオペラ余り詳しくないので
 一般的な評価かはわからないが)
今日はロシアプログラム、僕の好物。果たしてどんな演奏になるか?


最初に結論。
チャイコの4楽章。すごい。面白い。最高。エッティンガーかっこいい。
東フィル頑張った。金管良くやった。

と結論でなく錯乱してしまっているが、もう本当に面白いし凄かった。

エッティンガーは4楽章で、テンポ、音の強弱(デュナーミク)を大きく
とって指揮。早いテンポでどんどん盛り上がっていくところで、がくっと
テンポを落としたりして、聴いていて、えっ?と一瞬耳を疑うくらいの
チェンジオブペース。でも、全力、全開の東フィル演奏陣がこのテンポ
にしっかり付いて行くんだな。
フォルテシモも何段階かあるのだろうか?エッティンガーが金管を
左手の指2本、3本、4本で振っているように見えた。
(これは気のせいかも)

4楽章のことばかり書いたが、全体を通して気合の入ったチャイ4で
もう、たっぷり堪能した。

もう一曲ラフマニノフのピアノコンチェルト第三番。

この曲もチャイコフスキーと基本的に印象は変わらない。
一楽章が終わったときに清水和音が「爪が割れたので絆創膏を
貼ってきます」と。5分くらい?舞台を離れてるというハプニング。

嫌な間ができてしまったが、僕には演奏者は集中力を失ったよう
には聴こえなかった。その後の楽章もクオリティが落ちていなかった
と思う。観客もざわざわせず、会場の空気が緩まないで済んで
良かった。

それにしてもエッティンガーは格好良い。今は40歳位らしいが
指揮ぶりも若々しく自信に満ちており、団員との信頼関係も強そう。
新国立のこうもりを振るそうでこちらも是非チケットを取りたいが
厳しいかも。

今日は、ピアノ爪は割れるは、コンマスの弦が2度も切れるはと
ハプニングもあったが、とてもいい演奏だった。
最後は比較的静かな 「ロザムンデ」より間奏曲第3番。
大賀典雄氏の追悼であったかも知れない。


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April 24, 2011

読響カンブルランのヤナーチェク、急流モルダウ他を聴く(2011年4月23日)

2011年4月23日(土) 18:00開演
会場:東京オペラシティコンサートホール  
指揮:シルヴァン・カンブルラン(読売日響常任指揮者)

モーツァルト/交響曲 第38番 ニ長調 K.504 〈プラハ〉
ヤナーチェク/狂詩曲〈タラス・ブーリバ〉
スメタナ/連作交響詩〈わが祖国〉より交響詩〈モルダウ〉
ヤナーチェク/シンフォニエッタ

今日は初めてカンブルランの演奏を聴いた。
正直ヤナーチェクは余り知らないし、この曲目は
平時だったら多分行っていない演奏会。
だが、カンブルランが早い時期に予定通りの来日を表明し、
実際には予定より早く来日したという報に触れ、この人の
演奏を聴かねばと思った次第。

4月の演奏会は殆どそんな動機で演奏会に行くことにしてしまった。
先週のアツモン・都響も、明日のエッティンガー・東フィルも。

そしてカンブルランだが、指揮ぶりはとても分かりやすい。
演奏者にどう弾いて(吹いて)欲しいか?一目瞭然。
演奏者も乗りやすいのではないか?
エレガントなようで、気合も篭っている。
プログラムも凝っているみたい。
今日はチェコ縁(ゆかり)の音楽特集。

第一曲はモーツァルトのプラハ。この曲からして面白い。
現代オケの機能を生かした演奏振り。
編成もまあまあ大きめ。
最近流行のタイプではなかったのだったが、全然古臭くささは感じない。
読響も第一楽章の入りはちょっと雑然としてた気がしたがぐんぐん
良くなっていった。
席のせいかどうかわからないが、低弦の音に迫力がある。
一楽章終わって、思わずブラボー(心の中で)。
そのまま最後まで良い演奏だった。

次はヤナーチェク、タラス・ブーリバ。
オルガン含めフルオケが力強い。
チューバうまい。迫力あって効果的、かっこ良かった。

休憩後は「わが祖国」より「モルダウ」。
テンポが速くて驚いた。曲が始まって思っていたテンポよりあまり
に速い。これではこの後のフルートが・・・と思ったが、やっぱり!
フルートも本当に早く吹きまくって大変そう!
最後、バイオリンが高音のpp、音が合わなかったのがちょっと残念。

この演奏会の最後はヤナーチェクのシンフォニエッタ。
一楽章は金管のバンダとティンパニのみ。
バンダ頑張った。
2楽章以下も皆やる気のみなぎる大熱演。良かった。

最初、カンブルランの指揮はエレガントな感じで、読響の音色と
方向が違うのかと思っていたが、エレガントなだけでなく、
ガッツを感じる指揮振りでもあったので、読響はその方には応えて
いたと思う。楽員もカンブルランに敬意を込めた足踏みを繰り返して
いた。

カンブルランは何度も拍手を受けて指揮台と袖とを行ったり来たり。
でも拍手でソリストを余り立たせないのはいつもの事なのだろうか?
4曲目のファンファーレのバンダは流石に立たせたが1-3曲目までは
誰も立たさず。まあ、身内で拍手し合うのも余り多いのもどうかと
思うので悪くはないが、ちょっと気になった。

みな熱の入った演奏で、観客もフライングブラボーや露骨なブラボー、
咳や飴を開けるノイズも少なく気持ちのよい演奏会でした。

会場のオペラシティも久しぶりだったけど良かった。
気に入りました!


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April 17, 2011

清楚な「ルチア」光岡暁子・藤原歌劇団を聴く(2011年3月6日)

藤原歌劇団「ルチア」
日時 3月6日(日) 15:00開演(14:00開場 ※プレトーク14:15~)
演目 ドニゼッティ:歌劇「ルチア」(全3幕・原語(イタリア語)上演・字幕付)
指揮 園田隆一郎
演出 岩田達宗
出演 ルチア:光岡暁恵
エドガルド:小山陽二郎
エンリーコ:須藤慎吾
ライモンド:デニス・ビシュニャ
アルトゥーロ:上本訓久
アリーサ:ニ渡加津子
ノルマンノ:藤原海考
演奏 東京フィルハーモニー交響楽団
合唱 藤原歌劇団合唱部

一度この日のブログを書いた筈なのだが、上げそこねた
らしく消えていた。同じことを二度書くのが嫌だったので
しばらく放っておいたが、忘れてしまいそうなので
遅ればせながら書くことにした。


さて、ルチアの狂乱の場は僕の好きなアリアの中の
最たるもの。でも今まで、実演で聞いたことはない。
狂乱の場は15分以上に渡ってルチアが歌い続ける。
しかも超ハイテクニックを駆使して。
だから上演も決して容易ではないのだろう。
いつ実演で聴けるだろうとその日がくるのを楽しみに
していた。

この日のルチアは光岡暁恵。
藤原は二日間の公演をダブルキャストで行う、
昨日と今日で完全に入れ替わっている。
たった一日づつなんてもったいない気もするが。
それでも満席ではないのだから日本人のオペラ公演は
しかもスター歌手がいない公演だとなかなか難しいの
かもしれない。

さて、この日の演奏。ともかくもルチアの出来次第
だろう。僕も少し緊張。今日のルチアの人、
大丈夫だろうか?

光岡のルチアは極めて純真なルチアだった。
声はやや細く透明。でも声が聞こえなくて失望というような
声の小ささではない。
狂乱の場もあるとおり、ルチアは思い込みが激しく、
感情の起伏の大きい、ヒステリック、それなのに純情可憐な
少女という存在なのだが、この日はどちらかというと
純情可憐な弱弱しい美少女といった感じだった。

狂乱の場も破綻無く歌いきった。こちらも聴き終わって
ほっとして。良かったね。おめでとうなんて思ってて。

舞台はシンプルというかそっけない。
特に変化もなく抽象的なもの。

今日はルチアの狂乱の場が聴けただけで満足でした。

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久々の新国立劇場(涙)「ばらの騎士」を聴く(2011年4月16日)

ばらの騎士
Richard Strauss:Der Rosenkavalier
リヒャルト・シュトラウス/全3幕
【ドイツ語上演/字幕付】
新国立劇場

オペラ劇場2011年4月16日(土)14:00

【指 揮】マンフレッド・マイヤーホーファー
【演 出】ジョナサン・ミラー
【美術・衣裳】イザベラ・バイウォーター
【照 明】磯野 睦
キャスト
【元帥夫人】アンナ=カタリーナ・ベーンケ
【オックス男爵】フランツ・ハヴラタ
【オクタヴィアン】井坂 惠
【ファーニナル】小林由樹 
【ゾフィー】安井陽子
【マリアンネ】黒澤明子
【ヴァルツァッキ】高橋 淳
【アンニーナ】加納悦子
【警部】長谷川 顯
【元帥夫人の執事】小貫岩夫
【ファーニナルの執事】経種廉彦
【公証人】晴 雅彦
【料理屋の主人】加茂下 稔
【テノール歌手】水口 聡

【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】新日本フィルハーモニー交響楽団

新国立劇場はずいぶん久しぶり。
2月の椿姫以来。

今回の公演も震災と原発の事故で大分出演者が変わっている。

指  揮    :クリスティアン・アルミンク → マンフレッド・マイヤーホーファー

元帥夫人   :カミッラ・ニールント → アンナ=カタリーナ・ベーンケ  
オクタヴィアン:ダニエラ・シンドラム → 井坂  惠              
ファーニナル:ペーター・エーデルマン → 小林由樹               
ゾフィー    :アニヤ=ニーナ・バーマン → 安井陽子               
※オックス男爵役のフランツ・ハヴラタは、変更なし

今日の演奏、一言で言うと「第三幕は良かった。」

さて、全体振り返ってみよう。

第一幕の序奏は良かった。オーケストラのコンサートのような演奏。
しかし、幕が上がってもオケの音が大きい。大き過ぎる。
歌が始まってもこんな調子だから、歌がさっぱり聴こえて来ない。

それと、演出が中途半端なせいか、どうも話しに乗れない。
アンナ=カタリーナ・ベーンケは元帥夫人らしい容姿でこれは良かった。
オックス男爵のフランツ・ハヴラタ。声のイメージもまさにオックス。
この人が一番しっかり演技もしていた。

第一幕は始まり方からして一夜を共にした男女の色っぽさが
どうも伝わって来ず。

ちょっと不完全燃焼。

二幕目

ゾフィー登場。
うーーん。どうも舞台が散漫。
安井のゾフィー格好も地味だしとうが立ち過ぎている。
2幕が上がったときイメージととがっていたので、ゾフィーは
どこ?と思ってしまった。

三幕はどたばたになるのだがどたばたぶりが足りない。
これでは喜劇にならないではないか。

しかし・・・
最後の三重唱。これは良かった。
ここから練習を積み上げたのではないかと思うくらい
美しかった。ゾフィーとオクタビアンの最後の二重唱も良かった。
終わりよければ・・・、である。

オケ、新国立の初ピットの新日フィル。頑張ってた。
音のバランス等はやはりピット慣れしていないように思えた。
次の登場を楽しみにしたい。

演出、どうも中途半端。日本人が多いせいか演技も未熟。
棒立ちのシーンが目立った。練習不足かな?

だが、よく考えれば、オックス以外の主要キャストは全部振り替え。
指揮者までも。
そう考えるとよくぞ上演できたといったところ。

だから、上ではいろいろ言いたいことを言ったが
今日の上演にこぎつけた関係者の努力に感謝。
今の東京に来日してくれたハヴラタ、ベーンケ、
マイヤーホーファーにも拍手。

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April 16, 2011

アツモン、ブラ2都響定期演奏会を聴く。(2011年4月15日)

東京都交響楽団
第715回 定期演奏会Aシリーズ
会場:東京文化会館
2011年4月15日
指揮:モーシェ・アツモン
ヴァイオリン:竹澤恭子


エルガー:ヴァイオリン協奏曲 ロ短調
ブラームス:交響曲第2番 ニ長調

都響は若杉弘の音楽監督時代に会員となって
ずいぶん熱心に聴いていた。都響の演奏は
ガッツがあって演奏が熱いと思っていた。
思い入れもあって贔屓にしていたのだが、
石原都政下補助金が相当減っているのか
客演指揮者はインバル頼み。独奏者もかつてと
比べてもう一つなのであまり積極的に
聴きに行ってなかった。
最近はオペラがらみで何度か聴いた。
去年の売られた花嫁。最近の二期会サロメ。

しかし純然たるオケの都響演奏会は久々である。
この日はエルガーの大曲とブラームス。
指揮はモーシェ・アツモン。

もともとはあまり興味がない演奏会だった。
アツモンは昔よく都響に来ていたが、
さしたる記憶もない。
また、エルガーは正直苦手で、威風堂々以外の
曲はどうもピンとこない。

では何故演奏会に行ったか。

アツモンはこの時期の東京に予定通り来日した。
こんな時、人々には音楽が必要だと。

ここまで言ってくれるマエストロの演奏を聴かなくては。
(実はチケットが安く手に入ったということもあるのだが)


さて1曲目のエルガー、この日もやはり親しめなかった。
取りとめが無さ過ぎるというか。しかも長過ぎる。

竹澤恭子のヴァイオリンはすごかった。
小さな体だがものすごいバイタリティ。
以前ショスタコのバイオリンコンチェルトを聴いたがその時もすごいテクニックに驚かされた。
今日もバイオリンソロは楽しめた。


2曲目はブラームスの2番。
一楽章からデモーニッシュな演奏。
低弦、特にコントラバスの迫力がすごい。
細部の音が面白く聴こえる。
粘りのある力のこもった演奏。

以下の楽章も丁寧に振っていくし、造りたい音楽を
的確に造っている。都響も熱く指揮に応えている。
さらさらと流れることはない。
終楽章も力がこもっている。金管も熱い。
おーー、すばらしく盛り上がった。ブラボー。
いいブラームスでした。


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April 10, 2011

感涙 ズービン・メータ指揮/NHK交響楽団 特別演奏会(2011年4月10日)

~東北関東大震災 被災者支援チャリティー・コンサート~
ズービン・メータ指揮/NHK交響楽団 特別演奏会

プログラム詳細
■日時・会場
4.10 [日] 16:00開演(15:15開場)
東京文化会館 大ホール

■出演
指揮:ズービン・メータ
ソプラノ:並河寿美
メゾ・ソプラノ:藤村実穂子
テノール:福井 敬
バス:アッティラ・ユン
管弦楽:NHK交響楽団
合唱:東京オペラシンガーズ

■曲目
ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 op.125「合唱付き」


メータは震災の時、フィレンツェ歌劇場と共に東京に居り、地震に負けず演奏会を続けようとしていたという。
結局、本陣の意図でなくオペラ公演はキャンセルになったが、今回は休暇を返上してチャリティコンサートのために、まだ原発の危険も去らない中再来日したという。
以下は今回のコンサートへのメータのメッセージだ。
・指揮者ズービン・メータよりメッセージ

「今月のフィレンツェ歌劇場日本公演を無念にも途中で切り上げなければならなくなって以来、この偉大な国、日本を襲った未曾有の悲劇の後に、何かこの国の素晴らしい人々を助けられることがないかと考えておりました。
この度、厳しい苦境に立たされている多くの人々を勇気づける機会を与えてくださったNHK交響楽団、東京・春・音楽祭、それにフィレンツェ歌劇場日本公演を主催したNBS(日本舞台芸術振興会)にも感謝したいと思います。
2011年3月27日
ズービン・メータ 」

なんという指揮者、男だろう。

このメッセージを読んだだけで涙が出そうになる・・・。

そして、今日のコンサート。

黙祷。
メータの挨拶。
G線上のアリア。
そして拍手なしのままベートーヴェン9番。

G線上のアリアも感動的な演奏。
こちらが感傷的になっているせいかも知れないけれど。
普通のテンポで普通のダイナミクス。でも演奏者にも聴き手にも心が入っているからか、とてもすばらしい演奏に感じた。

そして第9。


1楽章は
レクイエムにおける怒りの日を思った。
低弦の音がものすごく出ている。僕にはこの楽章がこんなに厳しさを以って聞こえたことはなかった。

2,3楽章はゆったりした演奏。この辺はメータらしさ?3楽章のビオラなどは美しさにドキッとする瞬間があった。
そして4楽章。
今日は何がすごかったといえば、もう東京オペラシンガーズ の合唱。
4楽章の合唱が付いているところは、メータは殆ど合唱陣に向かって指揮をしていた。そしてオペラシンガーズも見事にそれに応えていた。大迫力、厳しさも天国的な美しさも感じられた。
今日の第9はやがて来る復興への歓びの歌であると共に、レクイエムでもあった気がする。独奏陣はソプラノの並河寿美とテノールの福井 敬が光って感じたが総じて悪くはなかった。もっとアルトの藤村の凄みを感じたかったが、バランスを重視したのかも。アッティラ・ユン は雰囲気というか意気込みが感じられたので、良かったといっていいだろう。

特殊な環境下の演奏会。演奏家も聴衆も異常な熱気、集中力があった。演奏後はスタンディングオベーション。
みんなメータに感謝。もちろん僕も。


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April 04, 2011

東京春祭マラソン・コンサート (2011年4月3日)

3月の中旬コンサート三昧、生まれて初めて位の勢いでチケットを買っていたのだが、
あの震災の為に殆どが中止となってしまった。
もっともあの地震のあとはこちらもコンサートっという気分になれなかったのも事実。
まだまだコンサートも少ないのだがそれでも、何か聴きたいという気になってきた。

普段は、オペラかオーケストラを聴くのだが今日は室内楽に挑戦。

東京春祭マラソン・コンサート

「ウィーン、わが夢の街 ~マーラーが生きた世紀末ウィーン」

第Ⅰ部 11:00開演(10:45開場)
大作曲家ブラームスの晩年

■出演
ピアノ:伊藤 恵
クラリネット:藤井洋子

■プログラム
ブラームス:
 3つの間奏曲 op.117
 4つの小品 op.119
 クラリネット・ソナタ 第2番 変ホ長調 op.120-2

晩年のブラームス。親しみやすいメロディ。何故か懐かしい響き。

ピアノ独奏もクラリネットソナタも楽しめた。
伊藤のピアノは自然でツボを押えた手堅い演奏と思う。
過不足のないピアノ。大感動ではないが十分楽しめた。

藤井のクラリネットも手堅い。見かけはどこかの地味な普通のおばさん。
でも読響の主席だそうです。

1890年代の作品だが、マーラーと同時代の作品とは思えない。
まさにブラームスの音楽。

第Ⅱ部 13:00開演(12:45開場)
ワルツへの道
~チェンバロによる《ウィンナ・ワルツ&オペレッタ!!》
■出演者
チェンバロ:中野振一郎

■プログラム
~宮廷舞踏への誘い~人気は3拍子~
L.クープラン:パッサカイユ ハ調
J.S.バッハ:《フランス組曲 第5番》ト長調 BWV816より
         「アルマンド」「クーラント」
ペッツォルト:メヌエット ト長調(伝:バッハ作)
ペッツォルト:メヌエット ト短調(伝:バッハ作)

~レントラー、ワルツ誕生、そしてオペレッタ~
グルーバー:レントラー − モデラート「きよしこの夜」
ミレッカー:オペレッタ《ガスパローネ》より「カルロッタ・ワルツ」
ホイベルガー:オペレッタ《オペラ舞踏会》よりワルツ「別室へ行きましょう」
レハール:オペレッタ《針金細工師》よりワルツ「ふたりが愛し合っていれば」
レハール:オペレッタ《ルクセンブルク伯爵》よりポルカ・フランセーズ
カールマン:オペレッタ《シカゴの公爵夫人》より
         「メアリーと一緒にちょっとスロー・フォックスを」
レハール:オペレッタ《メリー・ウィドウ》よりワルツ

舞踏音楽をキーワードにクープランから20世紀のオペレッタまでの音楽を
何故かチェンバロで俯瞰。

チェンバロの音ってこんなに小さい?響かない?

でも中野の話は実に楽しい。レクチャーコンサートの赴き。

きよしこの夜をワルツ風に。素敵な演奏。こう弾くと確かに舞踏曲。

楽しい1時間でした。


第Ⅲ部 15:00開演(14:45開場)
音楽家グスタフ・マーラー〜「私の時代が来るだろう」

■出演
バリトン:河野克典
ピアノ:青柳 晋、伊藤 恵
ヴァイオリン:菅谷早葉(クァルテット・アルモニコ)
ヴィオラ:阪本奈津子(クァルテット・アルモニコ)
チェロ:富田牧子(クァルテット・アルモニコ)

■プログラム
マーラー:ピアノ四重奏曲(断片)イ短調
[青柳 晋(Pf)、菅谷早葉(Vn)、阪本奈津子(Va)、富田牧子(Vc)]
マーラー(ワルター編):交響曲 第1番 二長調《巨人》より第1楽章(4手ピアノ版)
[青柳 晋(Pf)、伊藤 恵(Pf)]
マーラー:《亡き子をしのぶ歌》
         1. いま太陽は輝き昇る
         2. なぜそんなに暗い眼差しなのか、今にしてよくわかる
         3. おまえのお母さんが戸口から入ってくるとき
         4. ふと私は思う、あの子たちはちょっと出かけただけなのだと
         5. こんな嵐の日に
[河野克典(Br)、伊藤 恵(Pf)]

マーラー:ピアノ四重奏曲(断片)イ短調 はマーラーの初期のモチーフ断片をシュニトケが
生かして再構築したそう。
ブラームス風の音楽。マーラーらしさは音型の断片からようやく感じ取れる。面白い。

4手ピアノ版ワルター編曲の交響曲 第1番 第1楽章。
ピアノで聴くのも楽しい。

マーラー:《亡き子をしのぶ歌》
 
河野克典(Br)の歌は生真面目で手堅い印象。声もしっかりでているが何か+αが欲しい。


第Ⅳ部 17:00開演(16:45開場)
ウィーン、わが夢の街~マーラーの周りにいた作曲家たち


■出演
ソプラノ:天羽明惠
ピアノ:山田武彦

■プログラム
ヴォルフ:《メーリケ詩集》より「時は春」[試聴] 「妖精の歌」 他
R.シュトラウス:《6つの歌》op.68より「ささやけ、愛らしいミルテよ」
R.シュトラウス:《6つの歌》op.67より〈オフィーリアの歌〉
         1. どうしたら本当の恋人を見分けられるだろう
         2. おはよう、今日は聖ヴァレンタインの日
         3. 彼女は布もかけずに棺台にのせられ

ベルク《7つの初期の歌》より
         「夜」「夜うぐいす」「室内で」
シェーンベルク:
《シュテファン・ゲオルゲの「架空庭園の書」よりの15の詩》op.15より
ツェムリンスキー:《ばらのイルメリンとその他の歌》op.7より
         「ばらのイルメリン」
ツェムリンスキー:《6つの歌曲》op.22より
         「妖精の歌」「民謡」
コルンゴルト:《3つの歌》 op.22
         1. 君は私にとって?
         2. 君とともに沈黙する
         3. 世は静かな眠りに入った

アンコール、ジーツィンスキー「ウイーン、わが夢の街」

普段リートを聴かない僕だが十分楽しめた。
実は今回のマラソンコンサート、天羽明惠を一番の楽しみにしていた。
というのも、昨年の新国立劇場のアラベラの際、
フィアカーミリを演じた天羽明惠の声がダントツに響いていたから。
文化会館小ホールのようなところで歌うとどのように聞こえるんだろう?
興味と期待でワクワク!
そして期待に違わなかったと思う。

ツェムリンスキー、コルンゴルトなどは余り聴く機会がないが
これもかわいい感じ素敵な曲だった。冒頭のヴォルフも良かった。
ベルク、シェーンベルクの現代音楽も声楽だと聴きやすいと思う。
ただ、曲の終わり方が唐突なのはドウモチョット・・・。

白眉はアンコールのジーツィンスキー「ウイーン、わが夢の街」
オペレッタからの曲だろうが実に楽しい。天羽も自由に歌う。
伴奏の山田も多彩な技を繰り広げる。
ブラボー!!

第Ⅴ部 19:00開演(18:45開場)
新ウィーン楽派、誕生~音楽の新しい可能性を求めて

■出演
ヴァイオリン:松原勝也
チェロ:河野文昭
ピアノ:青柳 晋
弦楽四重奏:クァルテット・アルモニコ
         ヴァイオリン:菅谷早葉、生田絵美
         ヴィオラ:阪本奈津子
         チェロ:富田牧子

■プログラム
ヴェーベルン:弦楽四重奏のための緩徐楽章
ベルク:《抒情組曲》より第4楽章、第6楽章
[クァルテット・アルモニコ]
ツェムリンスキー:《リヒャルト・デーメルの詩による幻想曲集》 op.9
         1. 夕べの声
         2. 森の喜び
         3. 愛
         4. かぶと虫の歌
[青柳 晋(Pf)]
シェーンベルク(シュトイアーマン編):
《浄められた夜》op.4(ピアノ三重奏版)
[松原勝也(Vn)、河野文昭(Vc)、青柳 晋(Pf)]

ヴェーベルン、初期の作品。楽しい、甘い美しい曲。

ベルクも美しかった。これは有り!

ツェムリンスキーも楽しい感じ。

実は第Ⅴ部は《浄められた夜》に一番期待していたのだが
どうもあのうねるような音が聞こえてこない。
ピアノが入るとどうも音が多すぎる気がしたが気のせいか?
まあ、マラソンでゴール間近で疲れたのかも・・・。
でも、無事感想!!

三分咲きの桜の上野に9時間+α滞在・・・。

お疲れ様でした。楽しかったです!!


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